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「じゃあ......俺の思い出作りにも...協力、してくれます?」
あっちゃんの細い腰を、後ろから、がっつり掴んでやった。
「えっ...え...?」
「思い出作り、したいんです」
夏川君と。
「え......どういう、事?」
「だから、お願い......しますよ」
「す、皇......?」
俺に振り返るあっちゃんが、顔を真っ赤にしてるのに気づいてーー
〝あ、しまった〟と思った。
「何...皇......俺と、お、思い出作り......したいの?」
マズった。あっちゃん......勘違いした?
俺の人生に時々ある、この〝無意識釣り〟がーーまさか教師にも、通用するとか??
「あ...いや、あの......」
自分から言っといて、窮地に立たされる。
俺が返答に困っていると、
この部屋の扉が勢いよくガラガラガラガラっと開く音がした。
「竜胆!」
助けてくれたのは、あぁ俺の、好きな声......
「夏川君っ」
瞬速で、あっちゃんから手を離す。
「竜胆っ......一緒、帰ろう?」
「うん!」
即答して、夏川君に走って行った。
「先生ごめんっ、仕事はまた、明日でーー」
「あ......うん。...また......明日」
あっちゃんが、どんな顔をしていたかなんて、見れなかった。見たくもなかった。
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