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こういうホテルこそ、まさにセリナだ。
本人の好みじゃないかもしれないけど、世間のイメージで言えばきっと、彼女はこういう豪華な部屋に住んでいるクールなお嬢様なのだと思う。実際は、埃まみれのフローリングでも、平気で眠ってしまう奴なのだけれど。
レースカーテン越し、12月の寒々しい日差しが広縁に射し込んでいる。ニス塗りの丸い木製テーブルに手を触れると、とても冷たかった。
「お待たせお待たせ―」
トイレから戻ってくるなり、セリナは歌うようにそう言い、冷えた両手を擦り合わせながら、暖炉の前のロッキングチェアに座った。
「早く読みましょうよ、こっち来て」
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