秘密の約束

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(いつも読んでるのは漫画だけど・・・会社では、ビジネス書しか読まないもんね・・・) なんとなく、だましているようで胸が痛い。 「できる女っていう感じだな~。私なんか、漫画ばっかり」 「え?そうなの?」 「はい!恋愛漫画、大好きです!!」 (わ、そうなんだ!趣味の話が合いそうだな~) そんなことを思うけど。 ももこちゃんは22歳の新入社員。 見た目もふわふわかわいくて、「恋愛漫画」が好きだと言っても、そのまま違和感ない感じ。 けれど私はアラサーで。 自分でもあえてそういう風を装ってるけど、バリバリのキャリアウーマンという風貌だ。 (に、似合わない!言えない言えない・・・) 「私、ビジネス書って、たくさんあってどれを読めばいいのかよくわからなくて・・・。有島さんのおすすめってありますか?」 ももこちゃんに尋ねられ、私は、ちょうど今日のお昼に読み終えた、一冊の本をかばんの中から取り出した。 普段漫画ばかりの私でも、これは結構読みやすかった。 「これ、なかなかよかったよ。よければ貸すけど」 「わ、いいんですか?ありがとうございます!借りまーす!」 ももこちゃんは、本当に嬉しそうに私から本を受け取った。 そしてまた、キラキラと瞳を輝かせて言う。 「私、有島さんみたいになりたいんです。仕事ができて、綺麗で優しくて・・・。有島さんみたいになれるように、これ読んでがんばりますね!!」 「えっ、私?」 「はい!有島さんは、私の目標で憧れです!」
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