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「なに言ってんだかっ」
感情が呟きとなって漏れてしまっていた。
「ガッツリ見てるね?」
「えっ?」
急に後ろから声を掛けられて焦る。
「なんか雰囲気変わったよね、藤沢聖夜って……」
「かわった?」
「うん、前は男の子って感じだったけど新ドラマの主役でガラッとね……マジで熟女と付き合ってたりして、ははっ」
熟女……
「はははっ…」
笑ったマモルさんに合わせてあたしも取り合えず笑い返した。
パーマが仕上がり洗い流してからカットをする。毛先を遊ばせるように軽さを出すとマモルさんはドライヤーで乾かしながら簡単にセットしてくれた。
どうやら、雑なあたしにも手入れのしやすいスタイルにしてくれたようだ。
「全体を膨らますように乾かしたら三、四ヶ所だけ毛束をつまんでワックスでセット。──…ほら、簡単でしょ?」
「ほんとだ…」
ふわりとした質感。その毛先マジックで簡単にドライヤーで乾かしたボサボサ感が消えてフェミニンに纏まって見える。
「やっぱ似合うと思った…すごい可愛い」
「……ありがとうございます」
椅子を後ろに回転されて手鏡を持たされる。背後からの見た目も確認してヘアスタイルの出来上がりに感動していると、マモルさんは鏡を覗き込むようにして見つめてきた。
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