18章 ラブチェス

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喫茶店の開店前── この時期になると必ず増える一仕事。秋風に煽られ散った街路樹の葉を掃きながら、あたしは空を眺めた。 天気は快晴。空気が乾燥してきたせいか日増しに寒さは増している。 集めた葉っぱを風で散れないうちに、せっせと袋に詰めて閉じると厨房裏のゴミ箱に放り込んだ。 「マスター、掃き掃除終わったよ」 「おお、ご苦労さん! ついでに伝票にサインしといてくれ」 言われてカウンターへ向かうといつも珈琲豆を卸してくれる業者の田渕さんが立っていた。 「ごめん、田渕さん。マスター手が放せないからあたしがサインする」 「お、晶ちゃん! 見たよカップラーメンのやつっ」 田渕さんはニコニコしながら今週から流されたばかりのCMの話題を振ってきた。 「可愛く映ってたね~知ってる子だって大学生の息子に自慢しちゃったよ」 「え~マジですか」 笑いながら書類にサインをして受け答える。 「ここにいるって教えたからもしかしたら見に来るかも……」 「うげっ…それは勘弁」 苦笑い、書いた伝票を渡すと田渕さんはそれと引き替えにパンフレットを手渡してきた。
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