18章 ラブチェス

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・ 「これは?」 「晶ちゃん、珈琲の勉強したいって行ってたからどうかなと思ってね。一応何通りかコースもあるし……」 説明を聞きながらパンフレットに目を通す。 「お、研修ツアーか?」 仕込みを済ませ、厨房から出てきたマスターが手を拭きながらあたしの背後からパンフレットを覗いていた。 「28万……海外だって。これでマイスターまでとれちゃうの?」 「そのコースもあるよ、それはちょっと期間が長いけどね」 田渕さんは説明しながら長期間コースのパンフレットを取り出した。 ベーシック、スペシャリスト、マイスター。 マイスターは一ヶ月と結構長い。 「まだ期間があるから気になったら言って。パンフレットは置いていくから」 そう言って田渕さんは店を後にした。 あたしはスペシャリストコースのパンフレットにじっくりと目を通す。 「金に余裕があるなら行ってみたらどうだ?」 「でも、14日間だよ? お店はどうする?」 「なんとかなるわ14日くらい、こういうのは行こうと思ってもなかなかいけないからな。資格も取れるから行って損はないだろ?」 「………」 マスターに乗せられて少し気持ちが傾いた。 「うーん…考えてみる。…まだ期限に余裕あるし」
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