その女、誰よ

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「ねぇ、また待ってるよ」 朗らかな午後。友人の声に振り向けば、視線の先にいたのは見慣れた姿だった。 細いけれどしっかり筋肉のついた体に、長いコートがよく似合う男だ。差し色のマフラーを巻いて、スマホを片手に壁にもたれかかっている。 こちらの気配に気づいた彼は、凛々しかった顔を一気に破顔させて大きく手を振ってみせた。 周辺にいた女子が軽く黄色い悲鳴をあげるのを聞き、少しイラっとした気分になる。 「うわ、絵になるなー…羨ましい彼氏だよ」 彼は、私の恋人だ。
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