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クリスタが右手のナイフを強く握りながら言った。アーサーはそんなクリスタを見ながらも冷静な顔でサクレパスに質問した。
「表向きはってことは裏があるってこと?」
「軍事転用じゃよ。死者に戦わせることができるようになればそれはまさに無限大の兵力同然。そうなるとお主の父君が築いてきたこの世界のパワーバランスが歪み始めるんじゃ」
「ふーん。それでその組織を潰すための規制をサルザラクに求めてるってことか」
9歳とは思えないアーサーのその知性と理解力は、インビジブル・アイと謳われた父アーロンの血が脈々と引き継がれていることを物語っており、サクレパスもそのことに気づいてからはアーサーを一人の大人として接し、惜しむことなくその知をアーサーに伝えていた。
「ま、どんなに強い死者が押し寄せてきたってセシルの軍隊が負けるなんて到底思えないけどな」
アーサーはそう言ってがぶりとカーゴの肉に食いついた。
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