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1.麻酔デビュー
数年前の出来事ですが、いつか書こうと思っていたら完全にタイミングを見失ったので、今回こちらで。
人間ドックで胃カメラを選んだ際に、麻酔を使ってみましょうかと提案されました。
通常の、喉を麻痺させるお薬ではなく、検査中にすやすや眠るためのやつです。
……そんな、軽ーい感じの「使ってみる?」で、使えるものなんですね。麻酔って。
おかげさまでこれまで大きな手術の経験がないアサヒナ。ちょっと怖いけど、初めての本格的な(?)麻酔に興味津々。
緊張しながらも、処置を受けます。
そののち、胃カメラ前に順番待ちするいつもの椅子(カーテンで囲まれて個室みたいになっている)に座って、麻酔が効いてくるのを待っておりましたところ。
(――ねむ……。
あー、起きなきゃ……。
って、あれ?!)
もうねー、体感ではすっかり、単なるいつもの「朝」だったんですよ。
眠いけど起きなきゃ、って思いながら、家のお布団でいつものようにごろごろしてた……つもりがー。
気づくと、知らないベッドの上。
(――うちじゃなかった、ここ!)
はわわ! って慌てて起き上がると(でも、寝ぼけてて動きはぽやぽや)、気づいたナースさんが「はい、検査終わりましたよ」って優しくてきぱき案内してくれまして。
ぼうぜんとしたまま、わたくし受付に戻ったのですが。
(いいい、イヤー!!!)
その後数分ほど、素知らぬ顔で受付したり着替えたりしながら、脳内シャウトにつぐシャウト 笑
あんな、老若男女がうろうろしてる待合室で、いつのまにかベッドで爆睡だなんて! 成人として、あるまじきことッ!
それも、検査着上下とパンツ(ボトムスではなく下着の方)だけっていう無防備さで!!
もっと言いますと、眠りから覚めた私がほんとの最初に思ったことは、「やばい、コンタクトしたまま寝ちゃった」でした。
それくらい寝てた。普通に寝入っちゃってた。
そして、怖いのがですねー。
(パンイチも怖いが)(いや、パンイチではない)
寝てたのに、ふつう~に検査は受けていたのです。
ところどころ、記憶あるもの。
はいこっち来てくださいねー、気をつけてねー、とか言われつつ、歩いて検査室出入りしたときのことが。
麻酔のおかげで、苦しい記憶は一切ないんだけど。
そんな朦朧とした状態で、狭い範囲とはいえ、待合室→検査場→待合室脇のベッド、と自分が歩いてたとか。
戦慄!
麻酔って、麻酔って。
今まで、ミステリーなんかで、登場人物が麻酔で半ば意識のないままあれしたりこれしたり、ってエピソードが出る度に、
「えー、そんなことあるー?」
って半笑いで読み飛ばしてたのに。
ごめんなさいごめんなさい。
あります、ありました、そんなこと。
私、あの記憶のない1時間ほどの間に、万一誰かの何かの下手人になってたって、全然わからないもの。
(なってません)
(健診センターに謝れ)
(ごめんなさい)
そんなわけで、それ以降、胃カメラではなくエックス線検査を選んでおります……。
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