2022.9.20 いくつもの場所・久々のハードボイルド

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 そしてそして、そういうミステリーとしての面白さとはまた別に、この作品の魅力は、ハードボイルドっていうか……池波正太郎先生の、『剣客商売』を思い出したんですよねー。  テナント少佐と小兵衛、ふたりの主人公のキャラはだいぶ違うのですが、描かれる強さ・苦さに共通したものを感じるのです。  ひとりの大人として生きるにあたって、誰も逃れることのできない、組織というもの、人との縁、それに社会状況。  そんな様々なしがらみの中で、足をすくわれることなく、かといって長いものに巻かれっぱなしでもなく、自分の大切なものを守るため、よりマシな方へと状況を切り開く。  だけどそれは、所詮しがらみの中でのことだから、たとえ成功しても、成果は手ばなしで喜べるようなものではなくて。  テナント少佐、かっこいいんですよ(二回目)  見た目はあんまり……なんですけど。 (お腹は出てないけど、ヘビースモーカーで歯が変色してるし。軍服の着方はだらしないし)  そういうわけで、すっかり少佐ファンになった私。  よっしゃー、他のお話も読もう! と、張り切ったのですが。  そこで、衝撃のお知らせが。  ……たいへん残念なことに。  テナント少佐のお話って、この四つの短編しか書かれていないそうです……! (わーん) (もっと書いてよフラナガーン) (彼が生きてたら、今年99歳……) 【 ぼうぜんとしつつ・了 】
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