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そしてそして、そういうミステリーとしての面白さとはまた別に、この作品の魅力は、ハードボイルドっていうか……池波正太郎先生の、『剣客商売』を思い出したんですよねー。
テナント少佐と小兵衛、ふたりの主人公のキャラはだいぶ違うのですが、描かれる強さ・苦さに共通したものを感じるのです。
ひとりの大人として生きるにあたって、誰も逃れることのできない、組織というもの、人との縁、それに社会状況。
そんな様々なしがらみの中で、足をすくわれることなく、かといって長いものに巻かれっぱなしでもなく、自分の大切なものを守るため、よりマシな方へと状況を切り開く。
だけどそれは、所詮しがらみの中でのことだから、たとえ成功しても、成果は手ばなしで喜べるようなものではなくて。
テナント少佐、かっこいいんですよ(二回目)
見た目はあんまり……なんですけど。
(お腹は出てないけど、ヘビースモーカーで歯が変色してるし。軍服の着方はだらしないし)
そういうわけで、すっかり少佐ファンになった私。
よっしゃー、他のお話も読もう! と、張り切ったのですが。
そこで、衝撃のお知らせが。
……たいへん残念なことに。
テナント少佐のお話って、この四つの短編しか書かれていないそうです……!
(わーん)
(もっと書いてよフラナガーン)
(彼が生きてたら、今年99歳……)
【 ぼうぜんとしつつ・了 】
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