二章

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桃園さんがうちの課に来てわずか二週間後のことだった。 「桃園ちゃんこないだもらったお土産ありがとね! 美味しかったー!」 城戸さんがニコニコしながら彼女の華奢な肩を叩く。 「本当ですかー? 良かったです、私も好きなお菓子なので皆に食べてもらいたくて」 いつのまにか仲良くなったなぁ。 「城戸さん何もらったんですか?」 城戸さんは首を横に折る。 「何とぼけてんの墨村、アンタももらったでしょ? フィナンシェ」 「は……? フィナンシェ?」 貰った記憶無いんだが。 「甘い物大丈夫でした? 墨村さん」 桃園さんは涼しい顔で聞いてくる。金田さんが「桃園さんマメだよねー、全員にそれぞれ配るなんて」と横槍を入れた。 私もらってないとは言えない雰囲気に包まれる。……合わせてやれば満足らしい。 「うん、美味しかったよ。ありがとう」 「良かったー! どういたしまして!」 華のような笑顔の彼女の顔面を潰したくなってしまう。別に菓子がもらえないくらいで拗ねたりしないがな、こうアッサリ屈するのは不本意極まりない。
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