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桃園さんがうちの課に来てわずか二週間後のことだった。
「桃園ちゃんこないだもらったお土産ありがとね! 美味しかったー!」
城戸さんがニコニコしながら彼女の華奢な肩を叩く。
「本当ですかー? 良かったです、私も好きなお菓子なので皆に食べてもらいたくて」
いつのまにか仲良くなったなぁ。
「城戸さん何もらったんですか?」
城戸さんは首を横に折る。
「何とぼけてんの墨村、アンタももらったでしょ? フィナンシェ」
「は……? フィナンシェ?」
貰った記憶無いんだが。
「甘い物大丈夫でした? 墨村さん」
桃園さんは涼しい顔で聞いてくる。金田さんが「桃園さんマメだよねー、全員にそれぞれ配るなんて」と横槍を入れた。
私もらってないとは言えない雰囲気に包まれる。……合わせてやれば満足らしい。
「うん、美味しかったよ。ありがとう」
「良かったー! どういたしまして!」
華のような笑顔の彼女の顔面を潰したくなってしまう。別に菓子がもらえないくらいで拗ねたりしないがな、こうアッサリ屈するのは不本意極まりない。
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