二章

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時計が5時をまわった頃、私は明日のプレゼン資料の最終確認をしていた。 「墨村さん、ちょっといいかな?」 いつも温厚な田北(たきた)課長が血相を変えて私の机にやってくる。 「さ来週の合同説明会の資料、今日の15時までに提出だったの覚えてる?」 思わぬ言葉を投げかけられ、頭が真っ白になった。 「締め切り来週じゃなかったですっけ?」 「スケジュール確認していないの? 今日期日の筈だよ」 パソコンの指示書を開き期日を確認する。デカデカと今日の15時と指定されていた。 必ず期日は確認して、手帳で管理しているはずなのに……目の前が暗くなる。 「うそ……申し訳ありません、まだ完成してません」 「社長が出席する説明会の資料だよ?! もういい、明日の朝提出できる?」 「必ず! 申し訳ありません!」 私はすぐに頭を下げて資料をクリックした。まだ半分もできていない。残業して……何とか今日中に……。
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