三章

10/14
前へ
/254ページ
次へ
海山さん達に歩かされるまま、私は滅多に足を踏み入れない棟まで連れてこられる。 「あの、どこまで連れてく気なんです?」 「ついてからのお楽しみー」 声のトーンが低いというか暗い。少しばかり暴れてみるものの、私の肩を掴む力は強すぎて振りほどけない。 「あの、私今日急ぐんですけど」 「大丈夫、もう着いたからー」 「っ!」 白いドアを取り巻きの一人が引き開けたと思ったら、急に私は二人分の渾身の力で弾き飛ばされる。 痛いと思ったと同時に、ドアが閉まる音が聞こえた。 起き上がると、誰もいない。 まさかと思ってドアノブを回して押しても、ビクともしない。 つっかい棒? ……信じられない。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

941人が本棚に入れています
本棚に追加