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あの時私が鑑田主任のネクタイを引っ掴んで宣戦布告をすると、主任は電池を抜かれたように固まって絶句した。
告白なんかされ慣れてるだろうに、何故そう意識を手放したような顔をするのかわからない。
「あの、主任。私の言ったこと、聞こえてました?」
間が抜けた声が主任の口からこぼれ落ちる。
「……俺を落とすって……どういう意味?」
何故決死の告白の説明をもう一度しなければならないのか。どこの鈍感坊ちゃんだよ全く。
「貴方を私の恋人にしますという意味です! 今まで言われたことないですか!?」
捨てゼリフのように言った後、車を降りてキャンパスに向かっていると、車の鍵を閉めた主任は早足で私に追いついてきた。
「受付の場所わかる?」
「大体覚えてます。付いてきてください」
「ありがとう、助かるよ」
仕事中の柔らかい声に戻っている。顔を見ても人当たりの良さそうな微笑を浮かべていた。
その日私たちが30分程の説明会を行った後車で会社に戻る間、文字通り一言も会話が無かった。
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