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「ごめんなさいね柊聖さん、兄様が迷惑かけて。すぐ連れて帰りますから」
私の胸に黒い物が騒めいた。
「俺が一彬さんを運ぶよ」
「ありがとうございます、これ車の鍵です」
華生さんは主任の手に当然のように自分の車の鍵を乗せる。
……普通、他人にそんなに気軽に車の鍵を預けたりするだろうか。
「ん。華生さん荷物とっておいでよ。墨村、華生さん経理に連れてってあげて?」
主任は既に嶋木係長を引きずっているので、私は返事をするしかない。
「……わかりました」
「よろしくお願いします。えっと、墨村さん」
華生さんはもう私の横で鞄を握りしめて待機していた。
「じゃあ、向かいますね」
なんか、体中がもやもやする。
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