プロローグ

4/9

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
それから講演が始まるのだが内容が全くと言っていい程訳が分からない。幼稚園児からすれば「救済の日」だの「大いなるジノヴァ神さまは凄い」だの「他の宗教は全て邪教である」だの言われても訳が分からないし理解も出来ない。当然極めてつまらない時間であった。年の割には落ち着いているとは言われていたがここまでつまらなく理解できない話をされてると全身がむずむずとしてくるものだった。 こんな話を約50分、当時の自分はよく耐えたものだと今の自分は感心する。  50分が経過し、講演が終わったところで再び賛美歌の時間だ。やっぱり歌が分からないのでこれもつまらない時間の延長でしか無かった。  今度は何が始まるかと思えば予め貰っていた小冊子に関する研究の時間であった。 「これでは今回の小冊子の楽園を深く知るためにヨハネの黙示録、3章16節を御覧ください」 周りの人は一斉に新再醒訳聖書と呼ばれる普通の聖書に比べて分厚いものを開いて今言われた聖句を探し出す。 隣のお姉さんは予めそこの聖句が研究の議題に上がることを知っていたのかヨハネの黙示録、3章16節に付箋をつけていた。30秒経っても探し続ける母親にそのページを開いた新再醒訳聖書を差し出した。母親はすかさす自分の聖書のそのページを開き、隣のお姉さんに一礼をした。 「では、どのような方がジノヴァ神様と悪魔との最終戦争の後にパラダイスに入る事が出来るでしょうか」 壇上から長老が全員に対して問いかける。すると、数人が挙手をした。その中には隣のお姉さんもいた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加