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「では、一ノ瀬姉妹」
隣のお姉さんが当てられた。それと同時に前方の席からマイクが回されてきた。
「はい、信仰深き我々ジノヴァの証人のみが楽園に入ることが出来ます」
「そうですね、よくお答えになりました。お父様もきっとこの答えをお喜びになられますよ」
このように小冊子を見る、聖書から聖句を探す、それに応じた質問をすると言ったシークエンスが約50分の間何回も続けられて小冊子に関する研究の時間が終わった。締めとして賛美歌を歌い、最後に「アーメン」と挨拶をしたところでやっと帰れると思ったがそうは問屋がおろさないのであった。
終わった途端にまた周りの人がぞろぞろと寄ってくるのだ。今日初めて来た新人の母親に話しかける前に隣のお姉さんに駆け寄り皆こう言う「注解、ありがとうございました」と。どうやら聖書研究の時間に挙手をして自分の意見を言うことを「注解」と言うらしい。隣のお姉さんは照れくさそうに「いつものことですから」と返していた。
正直、あまり楽しくない集会と言う儀式の初回はこんな感じで終わった。
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