プロローグ

6/9

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
 そして次の土曜日から自宅での聖書研究が始まった。リビングのテーブルの上に聖書と小冊子を置き、桑原姉妹に親子を挟んだ3人で行われる形となった。 「今回はあなた方のような親子に相応しい聖句となってますね、では今回は箴言13章24節を御覧ください」 母親は箴言13章24節を読み上げた。 「鞭を与えないことは自分の子を憎む事。子を愛するなら熱心につとめなさい」 「よく読めました、続いて箴言29章15節を御覧ください」 母親は少しページをめくり、箴言29章15節を読み上げた。 「鞭と叱責は知恵を与える。わがままにさせた子は、母に恥を与える」 「よく読めましたね。このことから我らがジノヴァ神様が何を言いたいか分かりますか」 「我が子は鞭によって戒めろということですか?」 「そうです、我らがジノヴァ神様は子供を鞭で戒める事をお教えになられているのです。この後の17章にも『子を懲らしめ、しつけることであなたの心に安らぎをもたらせん』と書いてあります。ここで言う懲らしめとは鞭の事であるのです」 そう言って桑原姉妹は自分の鞄から黒いベルトを出した。 「これは私がいつも子供の戒めに使っているベルトです」 桑原姉妹はこちらを見た。何だかとても嫌な予感がしていたがまさかと言う思いがあった。 「そう言えばこの前の集会でお子さんはむずむずと落ち着きがありませんでしたね」 かなり強引な理由付けであった。だが桑原姉妹からすれば鞭打ちをするのに十分な理由であった。 「さぁパンツを脱いで四つん這いになりなさい。今からお母さんが鞭で叩く事によってあなたの中の悪魔を追い出すのです」 こんな無茶苦茶な話があるだろうか。こんな不条理な話があるだろうか。単純に痛い目に遭わされる事がわかったので必死に拒否をした。 「嫌だ!」 部屋中に甲高い声が響いた。だが桑原姉妹はそれにかまう事無く押さえつけそのままパンツを脱がせた。お尻が丸出しになっているだけでとても恥ずかしい。 「さぁ、思いっきり鞭でお尻を叩くのです」 母親はまだ初めてと言うこともあり要領が分からなかったのか軽く叩く程度で済ませた。びしっと言った感じの音が部屋に響いた。軽く当たった程度の痛みすら無かった。 「駄目ですよ、こんなのじゃあ悪魔は出ていきませんよ」 「ですが……」
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加