プロローグ

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母親は困惑している様子だった。 「仕方ありませんね、長老に報告させて貰います。ジノヴァ神様の教えに逆らったとして排斥になるでしょうね。短いお付き合いでしたが残念です」 ここで愛と常識がある親ならそこでこの宗教の異常性に気が付き辞める道を選ぶだろう。だが、愛と常識以上のものがある親ならどうなるだろうか。母親は鞭を思いっきり尻に打ち込んだ。シュッっと言う風を切るような音が聞こえた後、パァンと言った打ち付けるような音が部屋中に響いた。それと同時に声なき声も部屋中に響く。 「よく出来ました。これで悪魔も出ていくでしょう」 桑原姉妹は満面の笑みを浮かべながら言った。すると、母親はタガが外れたのか続けて鞭を打ち込み始めた。 「ごめんなさい! おはなしちゃんときくからゆるしてぇ!」 悲鳴が部屋に響き渡る。それに構わずに母親は我が子の生尻に鞭を打ち込み続けた。今まで何者にも叩かれる事無く綺麗だったお尻にミミズ腫れが増えてくる。合計で20発程打ち込んだところで必死に押さえつけていた桑原姉妹が母親を止めた。 「ここまででいいでしょう」 これを聞いて母親は手を止めた。その時の表情は般若のような怒りの表情かと思いきや涙でグシャグシャの顔であった。母親はそれからすぐに何も言わずに抱きしめた。それを見て桑原姉妹も号泣し始めていた。  これからというもの母親は何かとジノヴァの証人絡みの件で理由をつけては鞭で尻を叩くようになった。集会での話が退屈でむずむずとしただけで…… 「お家帰ったら鞭だよ」と、耳打ちをする。全身が震え上がり帰りたくないと思うのだった。 母親の信仰が深くなり、母親は洗礼の儀式を受けた。こうして親子での聖書研究が出来る頃になってお互いの聖書の解釈に違いが出ると「違うでしょ? お母さんはこう思わないな、鞭で正さないとね、お尻出しなさい」と言い出して鞭で打たれた。
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