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僕は踏み出す。
マイクという武器を手にして。
『では歌っていただきましょう。8番山田謙介さん。さくら』
緊張という名の敵はこれでもか、と言わんばかりに僕を襲う。
「ボォーくらは…」
声が裏返る。
カーン!
鐘一つ。
戦いは終わった…。
母は言った。
『お兄ちゃんは緊張しいなのに大丈夫なの?』
父は疑っていた。
『おまえの本選出場とか、ほんまか?』
妹は言った。
『もうお兄ちゃん、鐘一つとか絶対嫌だからね。学校で恥ずかしいから』
妹よ、許せ。
兄は緊張という名の敵に、敗北を喫した。
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