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「ホントに毎日が窮屈で退屈だ。父上は剣の稽古しか言わないし、母上は私の花嫁探しに夢中だし。城の連中はおべっかばっかり使っているし。城にある本はすべて読んでしまったし。」
森の中を王子様はゆっくりと馬を歩かせていました。王子の白い愛馬は王子の独り言に「わかっているよ」とばかりにいちいち頷いていました。
王子様は馬の首を撫でながら言いました。
「今はこの森でお前と散歩している時間が一番退屈せずに済むよ。
でも、ああ。せめて道化師でもいればなあ。毎日楽しい芸を見せてくれるだろうに。それか旅人。毎日いろんな国の話が聞けるだろうに。」
愛馬はうんうんと頷きながらふと首を上げました。
「どうした?何か見つけたのか?」
愛馬がぶるっと体を震わせたのを見て王子は馬の腹を蹴りました。
「行け。お前の気になるところへ。」
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