1/8

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

「ホントに毎日が窮屈で退屈だ。父上は剣の稽古しか言わないし、母上は私の花嫁探しに夢中だし。城の連中はおべっかばっかり使っているし。城にある本はすべて読んでしまったし。」 森の中を王子様はゆっくりと馬を歩かせていました。王子の白い愛馬は王子の独り言に「わかっているよ」とばかりにいちいち頷いていました。 王子様は馬の首を撫でながら言いました。 「今はこの森でお前と散歩している時間が一番退屈せずに済むよ。 でも、ああ。せめて道化師でもいればなあ。毎日楽しい芸を見せてくれるだろうに。それか旅人。毎日いろんな国の話が聞けるだろうに。」 愛馬はうんうんと頷きながらふと首を上げました。 「どうした?何か見つけたのか?」 愛馬がぶるっと体を震わせたのを見て王子は馬の腹を蹴りました。 「行け。お前の気になるところへ。」     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加