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道化師は相手が王子だったことに驚きましたが、これからは安全に暮らせるかもしれないと思い大人しくついて行くことにしました。 王子様の連れ帰った道化師はすぐにお城の住人に気に入られました。 王様は道化師の見聞した国々の軍事の話を聞きたがり、王妃様は道化師の色々な芸、特に火の棒を使ったお手玉を気に入り、そして王子は道化師のウィットにとんだおしゃべりがとても気に入りました。 王様は道化師の為にお城の中にお部屋を与えると言いました。 「ようござんす。ただ一つだけ。部屋は誰も来ない端の端で、窓が一つもないこと。それがだめなら出ていく所存。」 その願いは叶えられ、道化師はお城の東の端、日の当たらない部屋を与えられました。それでも他の使用人との相部屋ではない個室でしたから、随分気に入られたものです。 道化師は日の昇る前からお城中で皆を笑わせ、お城の住人がみんな寝静まる頃に部屋に戻りました。 ある日、王子は道化師の語る南の国に夢中になりすぎて、気がつけば夜中になっていました。 「では今宵はこれで。」 道化師は王子の部屋を下がり自分の部屋に向かいました。 王子はベッドに入っても寝付けませんでした。自分の白い肌を見て一体黒い肌というのはどんなものだろうと想像しているうちに、もう少しだけ話が聞きたくなりました。     
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