第2章 消える愛に残る哀

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「そうだね。じゃあよろしく。アーク。」 納得のいかない様子でバステトが言う。 「では、アーク様の技法は見せる訳にはいかないのでこの部屋の中に入ってください。」 そう言われると、バステト、ハデス、アスタロト、由利香お姉ちゃんの順で部屋に入っていく。最後に僕が入ろうとすると、アモンが話しかけてくる。 「いいのですか。林斗様。ご自分の記憶まで消して。」 「さっきの聞いてなかったのか?僕は持ちたくないんだよ。あの記憶を。この先の物語には、あの記憶を持っていたら絶望してしまうような、だが決して乗り越えられない訳じゃない出来事がある。僕は楽してその出来事を乗り越えたいのさ。あと、すまないが感情も消してもらえないか?記憶と共に。」 「別にいいですが。そちらの理由も聞いていいですか?」 「なあに、至極単純なことさ。」 僕は部屋に入り、アモンだけに聞こえるように言った。 「誰かに惚れてもらい、幸せになってもらう…といえばいいが、それは違う。ただ単に、僕の事を真の意味で愛してほしいだけさ。」 そして僕は、扉を閉めた。 … 「うぅ~ん?あれ?私なんでこの部屋で寝てるの?」 「さあ?きっと疲れて寝ちゃってたんじゃない?修行やったから。」 そこまで言うと、急に扉が大きな音を立てて開く。 「大丈夫っすか!皆さん!急にぶっ倒れたって聞いたんすけど!」 「ベリアル。私が言ったのは、皆様が倒れるように眠ってしまったのでこの部屋に運んだ。ですよ。何早とちりしているんですか。」 「すっ…すみませんっした。」 ベリアルが悲しげな様子で下がる。 「さて、皆様。睡眠をとったことですし旅しますよ。」 「旅…とな?」 「覚えてないんですかハデス。ここで5日過ごしたら色んな世界を旅するということを。」 「そ、そうじゃったな!すっかり忘れておったぞ!」 「いや忘れてたのかよ!」 僕は我慢出来ず思いっきり突っ込む。 「よし!じゃあ行くか!というわけで由利香お姉ちゃん!頼む!」 「お姉ちゃん…えへへ。」 「なにサクサクやってサクサクるんですかサクサクサクさっさとサクサクゲート開いてくださいよ。」 「アモン?なに食べてるの?僕君の方向いてないから分からないんだけど?」 「うまい棒です!」 「いや今食うなよ!」 ボケ倒ししてるなアモン。ていうかこんなキャラクターじゃねぇだろ!最初の筋骨隆々な紳士どこ言ったんだよ!
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