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運命の分かれ道を外れる道化
「くそっ!手数ばっかり増やしてくる!僕防ぐのうまいわけじゃぁないんだよ!?」
無限に増えていく触手を空間を操り消す。だが、消えた部分から枝分かれするように触手が増えていく。だんだんと触手は不規則に、予想ができなくなってくる。そして、林斗に一本の触手が背後から襲ってくる。だが、
「林斗!全方向をカバーしないと死んでしまうぞ?まぁ、儂はカバーする為に来たのじゃがな。」
そんな言葉遣いをする少女の鎌に斬られてしまう。その先から伸びようとした触手は煙を上げ、縮んでゆく。
「ナイス!ハデス!頼んだよ!後ろ!」
「わかったのじゃ。死ぬんじゃないぞ?」
2人は励まし合い、複数の触手を消していく。
「やァメルぉぉおオ!ジゃ魔ォすゥうルゥゥなぁアアァァア!」
「聞き取りづらい!聞いて欲しいならもっとしっかりと喋れドアホ!」
「林斗…気を引き締めるのじゃ。怒鳴っても触手は無くならんぞ?」
2人は息を荒げ、生きるのに必死になっているように見える。それもそうだ。最初は百程だった触手も全てを消すのにはハデス1人では間に合わず、今では億単位になっている。
「大丈夫ですか!【悪夢の豪雷】!」
「にゃぁっ!?なんだアークか。今驚かちぇないでよ」
「さらっと噛んでますよ。」
(…あれ?なんだ?この違和感。)
それはほんの些細な違和感であり、その原因を林斗は確認する事が出来ない。
「どうしたんですか林斗。いま防戦一方なんですよ?何かに気をとられているようならすぐにやられてしまいますよ。」
「いや…何か違和感を感じるんだよね。それに…嫌な予感が…ッ!!」
林斗は気付く。数ある触手の中に異様な形のものがあることに。
それは尖った、いわゆる刺す為の槍のような触手ではなく、円の形をして、表面に光が反射する。それはまるで…
「アーク!ストップ!」
「はい!?…!くそっ!放った雷はもう戻せないんですよ!」
アークが放った雷は、円の形をした触手…
所謂盾の触手に当たり、反射する。それは林斗の方向に向かって行き、
「林斗!」
ハデスが身代わりになり、その雷はハデスを貫く。ハデスが乗っていた憑代は消え、体のぽっかりと空いた穴からは血が溢れてくる。
「アーク!頼まれてくれるか!」
「分かりました!こちらは守りますから早く行ってください!」
林斗は落下していくハデスを追いかけ、空中で受け止める。肌は冷たくなっており、ハデスのする息も少なくなってくる。
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