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「お前は何者なんだ!」
叫びながら、手に取った写真を男に向かって放り投げる。
テーブルの上に散った写真の中には、マジシャンが濃紺のスーツに身を包んだ怪しげな男から、アタッシュケースを受け取っている場面が映し出されていた。
「アンタのことは全て監視させてもらっているよ。女のことも、マフィアの一味だってことも、もちろん、マジックのタネも」
マジシャンは慌てて逃げ出そうとした。
「動くな!」
男は内ポケットからピストルを取り出し、マジシャンに狙いを定めた。
「お前はいったい、何者なんだ……?」
両手を真上に突き上げたマジシャンが、震える声で尋ねる。
「俺か? お前の同業者だよ」
「マ、マジシャンか……?」
「残念だな。お前の本業のほうだよ」
男が言い終わるのと同時に、耳をつんざくような轟音が鳴り響いた。
ピストルで打ち抜かれたマジシャンの胸ポケットから、ジョーカーのカードが飛び出した。
「どうやら、ババを引いちまったみたいだな」
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