ロシアンルーレット

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「俺らは悪人だが悪魔じゃない。恋人を助けるために自分を犠牲にしてこんなところまでやってくる健気な心意気、嫌いじゃないね。お前と恋人に生き延びるチャンスをやろう」  そう言うと岩部は、背後の棚に置いてあったピストルを掴んだ。 「こいつのシリンダーから一発だけ弾を抜き取ってやる。昔からよくあるやつだなぁ。ロシアンルーレットってやつさ」  岩部は弾倉にぎっしりと弾が詰まっていること、そこから一発だけ弾を抜きったことをゆっくりした動作で示すと、シリンダーを勢い良く回した。下っ端の男が背後から近づき、直哉の右腕を自由にするために縄の一部を切り取った。 「ほらよっ」  両腿の上に、ズシリと重いピストルが放り投げられた。 「二人が生き延びられるかどうかは、お前の運にかかってる。ほら、ピストルを構えろよ」  手にしたピストルで岩部を打ち殺してやろうかと考えたが、うしろに立つ下っ端たちが自分に銃口を向けているのを感じ、企みを打ち消した。
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