フォー オブ ア カインド

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「こんな 書き出し・どうかな?」 デザートのカステラを片手に・突然のレポート用紙/ちょっと雑な字 が並ぶ 視線をガラスの向こうに戻す/外は雨で 会話が危険水位 「先輩 読んでいただけますか」 これで限界 「のねずみのぐりとぐらは、おおきなかごをもって、もりのおくへとでかけました。」 あれ? 「ぼくらのなまえはぐりとぐら。」 何で? 「このよでいちばんすきなのはおりょうりすることたべること。」 だって・それ… 「君が最初に読み聞かせをした 『ぐりぐら。ぐりぐら。・・・』」 図書委員会企画の読み聞かせ会で・子ども達の前で初めて読み聞かせた本 後ろで半分寝ている先輩/ ジョーカーに気づいた日 無人島では 先輩一人に読み聞かせをしてあげる/ だから「ぐり と ぐら」 ハンバーガー屋で・ ぐり と ぐら と 先輩と 私と  先輩はレポート用紙に・何かの小動物 らしきものを2ひき描く 水性のボールペンをカチャカチャして 服のあたりを青と赤でぬる 黒で大きなまるを描き 取っ手らしきものをつける 「このよでいちばんすきなのはおりょうりすることたべること  無人島では・さて 何を食べようか」 / 知っているくせに と思う
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