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お客様をその後も何人もばたばたと見送って、気付けばもう23時、終わりの時間。 やっとお客様もまばらになってきた。 店長がおでんの補充を終えて私の側にやって来ると、私の顔をじっと覗き込む。 「お疲れ様。この辺りでもう上がっていいよ。 ……ところで、桐子、随分顔色悪いけど大丈夫か?」 私は両頬に手を当てた。 さっきまでは照れたり恥ずかしかったりして暑い位紅潮してた筈だったから、顔色まで想像してなかったけど、何となく体がだるい。 「うーん……もしかすると、風邪気味なのかも」 私の返事に、彼はあちゃー、と呟いて自分のおでこをぴしゃり、と叩く。 「明日、仕事上がったら淳哉んとこの病院行っておいで。大事な桐子までインフルになったら大変だし。 それなのに、無理させてごめんな」 大丈夫、心配いらないよ。 そんな言葉の代わりに、せめて笑顔だけは見せておきたくて、私は口角をきゅっと上げて右手を振った。
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