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どきどきどき。
病院の待合室、私の周りにいる方々―――ほぼ9割は女性だ―――をそーっと観察する。
基本的に丈夫に出来てるんで、滅多に病院に行かない私はどうにもこうにもこの少しつん、と漂う病院ならではの薬の匂いが苦手で緊張する。
それにしても………。
いつも行く杉崎クリニック―――一郎さんの幼馴染の淳哉先生はお婿さんらしい―――で紹介して貰ったこの病院、余程評判がいいのか凄く混んでて、もう2時間は待ってる。
左隣の人はそれを見越してたのか編み物をしてるんだけど、だんだんと子供用の帽子らしい形が見えて来た。
「あなた、ここ初めて?凄く混むから暇つぶしの道具とかあった方がいいのよ」
編み物をしていた彼女は、私の視線に気付いたのか、ふわりと微笑む。
私ははい、と頷いた。
「想像したよりずっと待つので驚きました……」
「だよねー。
私も最初、こんなにとは思わなかったから暇すぎて。
今日は“いぬの日”だから尚更混むのよ」
「???」
今日のわんこ、なんて朝のテレビ番組のコーナーが頭に浮かぶ。
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