2

8/9
前へ
/13ページ
次へ
その女性曰く、 “(いぬ)の日”は、カレンダーによっては書いてあるか微妙なのもあるけど、大安とかって文字があるのなら殆ど書いてあるそうで。 「“土用の(うし)の日”ってあるでしょ?あれもそう。十干十二支で、丑の日、とか戌の日、とかって」 「あー、“(とり)の市”っていうのもありますね~。 私、それは鶏肉の特売日なんだって兄に教わってたんですけど、去年初めて真実を知りました~」 で、何でこの「戌の日」なのか。 それは、お産が軽く、一度に沢山の赤ちゃんを出産する「犬」にあやかって、妊婦さんと赤ちゃんの無事を願う安産祈願をする習慣が徐々に広まっていったらしい。 この病院では、安定期に入る5か月目になると、 「じゃ、次回の戌の日に腹帯(はらおび)持って来てね」とのお告げがあり、こちらの院長先生自ら朱筆で「寿」の字を入れて下さるそうだ。 「そーなんだ……俺も全然知らなかった」 帰宅すると、既に起きていたらしい一郎さんが首を長くして待っていた様だ。 一通り話すと、感心したかのように頷いている。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加