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「一郎さーん、レス遅くなってごめん~」 彼女の声はゆっくりのんびり響いて聞こえるけど、本人は結構焦ってる様だ。 「スマホのトグル入力って、なかなか慣れなくて困っちゃった~!!」 ………やっぱりか。 想像通りの顛末に、俺はぶっ、と吹き出してしまった。 「もうっ!笑わないでよー! ピンチヒッター、入るのやめちゃうよー?」 「うわ。それは困る。 桐子がカワイイなぁ、って思ったから笑っただけだし。怒らない怒らない」 「……その言い方ズルいなぁ。 で、何時から行けばいいの?」 「前と同じ時間でオッケー。 頼むよ、マイハニー………」 ついつい調子に乗って喋っていたが、おばちゃん達がにやにや顔で眺めていたのに漸く気付く。 やべ、超恥ずかしいし。 「………顔、洗ってきます」 おばちゃん達の大爆笑を背に、俺はバックヤードに向かった……。
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