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その時、私の左肩に店長の手が掛かってそっと引き寄せられた。 「うちの家内です。 これからも時折、店に出ると思いますので、宜しくお願いします」 二人でぺこり、と一礼すると、お客様がおめでとう、と拍手を下さった。 店内の他のお客様も驚いた表情で拍手して下さる。 「さ。そろそろ仕事、再開しよ?」 彼は私の背中をとん、として隣のレジに戻った。 "家内" 初めてそんな呼ばれ方をして、本当に結婚したんだなー、とか、この人の奥さんになったんだなー、と実感したらむずむずと嬉しさが沸き上がってしょうもない。 この人の傍に居られるのが、ただひたすら嬉しい。 大変だし辛い事も多いけど、こんな喜びがあるから救われるのかもしれない。 一つ一つはささやかだけど、"嬉しい"の貯金を二人で殖やせるといいな。
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