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待って待たれて
山下桐子は社会人になって七年目になった。年齢は二十九歳。アラサーと言われる年齢になっていた。
桐子は大学を卒業して就職した会社でいわゆるOLとして働いており昇進するでもなくなにか大きな仕事を任されることもなく、かといって後輩の教育に精を出すこともなく平凡な平社員を続けている。
それは私生活でも同じで多くの友人が結婚をしたり親になったりしている中結婚を考えるどころか彼氏とは三年も前に別れたきりでそれ以降、色恋については全く進展はない。
もともと恋愛ごとや男性については疎かったのだ。今の年齢になるまで付き合ったのは二人だけ。それは誰に聞かなくとも恋愛経験が少ないことはわかっていた。
離れて暮らす親からは「先のことは考えているのか」といったようなことを聞かれることも多かったが桐子はあいまいに笑って流すしかできず、「先」とは一体どこまでのことを指しているのか見当がつかなかった。
もちろん結婚はできたらしたい。子供もできれば産みたい。
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