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だがそれは仕方がない。こんな冴えない自分を気に留める高校生などいないだろう。
お化粧や髪型は身だしなみとして整えてはいるが桐子の容姿はお世辞にもかわいいやきれいからは遠い存在だった。
ごく普通の地味な子。それは学生のころからわかっていたしきっと将来このままだろうとも思った。変わる気もなかった。
それでもただ。ただ目の保養として、日常のちょっとした楽しみとして桐子は毎日この男の子の顔を見てときめいていた。
本当に気味が悪いだろうな。でも声もかけていないし写真だってとってない。相手には気づかれていないしそれにこのことは誰にも言っていない。だったらなんだっていいじゃない。
男の子を見つめ続けて数か月が過ぎていればどこか開き直った自分がいた。これくらいの楽しみがあってもいいじゃないか、と。
男の子に出会ってからというもの視界が少しだけ明るくなった。そして休日に出かけた時に歩くだけでもなんとなく楽しかった。
自分の視点が変わったのだろうかファーストフード店ではしゃいでいる高校生くらいの子を見ればあの男の子もこうしてみんなとはしゃぐことがあるのだろうかと考え、手をつないでその恥ずかしさからか気まずそうにしている学生のカップルを見ればあの子も彼女がいるのだろうかと考えた。
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