最初の春

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まだ桜の花弁が空に映える4月初旬、自分は自宅から電車で20分程の少し家から離れた普通科の公立高校に入学した。中学時代に仲が良かった友達とは離れてしまったがまた1から頑張りたいという気持ちもあり希望を持ってこの高校に入学した。この高校は市内で平均よりちょっと上くらいの学力で地元の高校よりも偏差値が高い。それもありここに入学したという理由もある。そして今日、入学式。新入生の集合場所は体育館だ。そこで色々長い話を聞くのだろう。まだ入試と入学説明会くらいでしか来たことない場所に迷いながらも集合10分前に到着する。そして先生から座る場所を教えてもらい席に座る。式の開始まではあと10分。やることもないためとても退屈だ。周りにどんな人がいるのか見てみたいが誰も頭を動かさず前を向いているので自分もそうするしかない。時間がくるまでとにかく不動、というよりかは緊張もありそれ以外の選択肢がないという状況だった。そうしていると自分の前に座っている人が気になった。肩よりも少し長い髪の長さ、綺麗さから女性と認識できる。どんな人か気になりながらじっと待っていると「一同起立」と号令がかかる。ずっと座っていたため起立と同時に貧血持ちの自分は軽く立ちくらみがしたがなんとか体勢を整えた。そして「一同礼」の号令に合わせて礼をする。最後に着席。そこからは白髪のダンディな校長先生の話や話し方のクセが強い教頭先生の話などを聞きながらこれからの3年間の期待や不安に胸を膨らませていた。 入学式終了後は担任の先生の後ろに一列に並び今日から約1年間過ごす教室に移動した。1年生の校舎は2階、ちなみに2年生が3階、3年生が4階となっている。席は出席番号順に廊下側から前から後ろ、前から後ろと並べられており自分の名字は「小林」のため比較的早い順番だった。そのため入学式のときに前に座っていた女性も自分の前の席に座っている。席に座ったらまず担任の先生の自己紹介が始まった。男性の担任で36歳、既婚、教科は国語全般でバスケットボール部の副顧問をしている。見た目は研究者のようだがバスケットボールを高校と大学の7年間やっていたらしく失礼だがその見た目とのギャップに自分達は思わず驚きで声を漏らした。そうして先生の自己紹介が終わると次に名前の読み方を覚えるために出席番号順に名前を読み上げ始めた。1番から順に名前が呼ばれていく。すると自分の前の
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