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 なにか面白いことがあろうとなかろうと取り敢えずつぶやくことがアカウントを作ってからというもの僕の日課になってしまった。僕の学業成績不振に一役も二役も買ってしまっている気もかなりしているが、一度始めてしまったらもうない生活には戻れそうにない。  もう立派な廃人だな、とも思うけれどやっぱりやめられそうにはない。  アナストプレイヤーさんと主に繋がっているこのアカウント(名前はもちろんキオ)。  今日もアナストキャラの美麗なイラストに漫画、フォロワーさんの日常が流れてくる。  それらを眺め、ときどきいいねを押しながらごろごろしているとさっきの起こされた話のツイートに返信が来た。  【あっ、私の前の席の人も今日がっつり爆睡してた?】  送り主は、【しお】さんだった。  しおさんは、このアカウントを作った初期から仲良くしてくれている人で、アナストでもギルドを組んでいる。  「定期テストがある」なんていうつぶやきのタイミングが僕と大体同じで年齢がどうやら近いらしく、しょっちゅうメッセージを送りあっている。  僕のアイコンも描いてくれていて、この人のお陰で僕のツイッター生活が成り立っているようなものだ。  【奇遇ですね~】  【もしやクラスメイト(・o・;;)】  でも授業中に爆睡して同じクラスの人に起こされるなんてことありふれ過ぎているし、フォロワーさんが実は後ろの席でした、なんてことは世界広しといえども流石にありえないだろう。     
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