私は顔が分からない。

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私は顔が分からない。

 私は顔が分からない。  私がみんなと違うなと思い始めたのは、高校生の頃からだった。今まで、私は少人数の学校で小、中学生を育ってきた。その為か、人を間違えることは多少あったが、何とかやってこれた。  小学生のころは同級生が4人で、覚えるのには苦労したことはない。  中学生の頃は正直、思い出したくない。というか女子の顔は今見ても名前と顔を一致させる自信はない。  だって、彼女たちの顔は、私の苦しく辛かった思い出と一緒に消したのだから。    それでも、ここに書こう。あの頃の記憶を。  中学校に入学して、はじめて女の子の友達ができた。できたと思ったのに……。  はじめはとても楽しい毎日だった。でも、そのうち私は流行の話題についていけなくなった。アイドルの話、ドラマの話そんな話題が飛び交う教室に私の居場所はなかった。話題に上がる人達は私の知らない人ばかりだったから。その人は一体誰なのか?どんなドラマや映画に出ているのか全く分からなかった。 「自分はテレビをあまり見ないだけ。だから知らないだけ」 といつも自分に言い聞かせて、その場その場で何とか取り繕っていた。基本一人ぼっちだった私は、人の顔が覚えれないなんて思わなかった。そのうち少人数なのにも関わらず、仲良しグループができ始め、いじめのターゲットが決まった。それが私だった。今のいじめの方が悲惨だと思うが、本人が苦痛を感じているのだから、やっぱりあれはいじめだったのだろう。
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