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  会いには行けないまま、朝が来て夜が来て、また朝を迎える生活が続いた。 ただ、昔とは違って隼斗を想うことに後ろ暗さはない。楽しかった思い出と古い携帯電話に残った隼斗の画像が夏哉の恋の全てだった。 高三の大晦日。二人で行った初詣。マスクを取っていちご飴をガリガリ食べる隼斗の赤く染まった唇が可愛かった。 「もう一個買う!」 「虫歯になるぞー親父さんに怒られるぞー」 「帰ったら念入りに歯磨きするし!」 だから自分もぶどう飴をもう一個買った。隼斗は夏哉の口の中が紫色だ!と何故か目を輝かせた。 白く吐く息の向こうに見える赤い唇。顎に引っ掛けていたマスクも飴で赤く汚れた。 「外すの?」 「ベタベタで気持ちわりー」 「アレルギー大丈夫?」 「目薬点す」 参道から離れた灯篭の傍で、慣れた様子で目薬を点す隼斗の仕草をじっと見つめた。それに気づいた隼斗は瞬きを繰り返しながら恥ずかしそうに俯いた。参拝客の喧騒が遠くに聞こえる中、お互いが長く沈黙している事はわかっていた。
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