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  「夏哉とキスしたい」 「うん、俺も隼斗としてみたい」 あ、今の言い方だと、他のヤツとたくさんキスしてきたみたいだ。途端に気まずくなった気がして、隼斗の手を取って灯篭の更に奥の暗がりへ進んだ。 注連縄のかけられた大きな木の陰で、生まれて初めてのキスをした。いちご飴とぶどう飴の味がする、甘いキスだった。 それからは、雪崩れるようにキス(と少しその先も)三昧の毎日で、放課後の塾に遅れそうになる隼斗を見て夏哉はヤバいと思った。推薦で進路の決まったお気楽な自分と歯科大の受験を控える隼斗を同列に置いてはいけない。 自分に夢中になっている隼斗が愛おしくて堪らなかったけれど、今はとにかく我慢だ。 『合格したら初エッチ』を合言葉に頑張る隼斗がまた一層愛おしかった。 そしてその合言葉が実現した後は、また雪崩れるように暇さえあればセックス三昧だった。 我ながらサルのようだった自覚はあるけれど、あんなに幸せだった日々はない。自分に恋を、愛し愛される喜びを教えてくれたのは隼斗だけだ。
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