3年と3日前の手紙 への追伸

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高2の4月上旬 SAKURAフェスティバルの横で 郵便局の「3年後の指定された日に手紙を届けます」 なんてのをやっていた 特別な封筒を購入し「3年先へのポスト」に投函するシステム/ なんてところは以前と同じで・イベント好評につき またやりま~す・というところだろう 「指定された日」はサービス向上の部分で・さすが日進月歩の郵便局 ではある 1年とほぼ3ヵ月前・幼馴染のあいつと高校の願書を提出しに行った帰り道 「ねえ 出してみない? お互いの受験合格の祈願になるでしょ」 「お互い宛てに手紙を出すの/ 住所はここにしちゃおうよ・受かってたらお互いに手紙が届くじゃない」 あいつが指定した宛先である南多摩高等学校に・あいつはいない 父親の仕事の都合でオーストラリアに行くことを・僕にだけは知らなせないようにしたのも そんなことをしたらメールだって出さないだろう僕の性格も・十分に分かった上での あいつの確信的犯行 である そんなところは小さい頃から相変わらずであり・いつもの通りに歯を磨けばそれだけで虫歯になるわけがない・という不思議な確信のあるあいつが やっぱりうらやましくあった 手紙の存在を忘れたかった時期があった・あたりを正直としたかった 大学を受験する少し前の1月に たぶんあいつは日本に帰ってくる/ ポストを見つめながら・考える いろいろ と考える そして・あいつの性格や行動を検討した上での 僕の革新的反抗 を思いついてしまった 思いついたからには 僕も歯を磨いてみるしか選択肢はない 近くのコンビニで 雑誌とあいつが好きな女優がCMをやっているお茶を買って/ それから 3年先に届く封筒を買う
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