3年と3日前の手紙 への追伸

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虫歯になりそうな不確定要素はある・その1つは 宛先の住所 をどうするかだ 南多摩高校宛では すでに卒業しているであろう僕にすら届かない/ 戻ってくるあいつの家は変わらない・とは思うがそれではつまらない ふと あの日の帰り道に寄った図書館で・あいつとかわした いくつかの会話 を思い出した/ そうだな たぶん それが正解だろう お茶をぐいっと飲んでから ピンクで印刷された用紙に書く 「あの市立図書館で午後3時に 待っています」の手紙が届いた 図書館のいつもの席に・あいつは 3年と3日前と同じように座っていた/ 色とりどりの大きさや形の 100通少しの手紙が紙袋いっぱいにある まだ封の開いていない3年と3日前の僕の手紙を 手にする/ ペーパーカッターで 楽しそうに手紙の封を開ける 今日は どうやっても勝負にすらならない -------------------------------------------------------------------------- 追伸 とする 本当の勝負は2年と3ヵ月とあと少し先にある としたい 3年と3日前の図書館のいつもの席で あいつは/ 5月初めの自分の誕生日 いつものルーティーンはもちろんするんだけど・と言った/ 二十歳の誕生日はやっぱり特別だから もう予約してあることがあるんだ 南多摩高等学校正門から東に150mのところに 古い写真館がある/ 小学校入学のときに 親に連れられて・2人で記念写真を撮らされたところだ 最近の結婚情報誌は いろいろと付録がある/ 市役所でもらえる用紙の印刷の色は緑だが 規則では色に決まりは無いらしい
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