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「あとカウントダウンカレンダーがめちゃくちゃ売れてるらしいよ。みんなよく買うね、もうそんなに時間ないのに。あの、なんだっけ。カズが好きな歌手がプロデュースしたやつ」
「ああ、買ったわ俺も」
「買ったんかい」
私は端末をスクロールする手を止めた。
「カズはさ、」
「ん」
「世界が終わるの、楽しみ?」
「んー」
珍しく考えるような素振りを見せて、カズはやっぱりちょっと笑った。
「次に行けるって言うのも楽しみだけど、次がいいか分かんないし。カタツムリとかだったらヤダ、俺」
「皆でなんか盛り上がってんのは好きだけどさ、
カエデと離れるのは、ちょっとイヤかな」
「…どこで覚えてきたの、そんなお世辞」
カズは、え?という顔をする。こいつの事だから、ほんとにそう思ってるんだろうな。
私は今日も寝坊をして、学校に行って。帰ったらご飯を食べて、シャワーを浴びて、ろくに勉強もしないで眠るんだろう。
私たちの地球は、あと95日で滅亡するのに。
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