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康成の驚いたマヌケな顔に、楓はぷっと吹き出した。
「好きじゃないって、どういう意味だと思う?」
「…嫌いなの?」
「…やっぱり、そう思ってる。」
楓は、髪を風にたなびかせながら、言った。
「私の中での『好きじゃない』はね。ただ、『好き』じゃないだけなの。だって私、康成のことが、『好き』じゃなくて『大好き』なんだもん」
満面の笑みで言う楓の背景には、一面赤色の「楓」の木が立ち並んでいた。
その「楓」が散って、舞っていくのとは反対に、二人の未来は、咲き誇っていた。
【fin】
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