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先程多大な迷惑をかけた先生に促され、僕たちは舞台袖からステージに移動した。
それとほぼ同時に周囲がざわつく。…当たり前か、五人も出てきた上にそのうちの二人が校則違反レベルの格好してんだもんな。
「それでは始めに、千草零さんお願いします。」
はい!眼鏡の少女が大きな声で返事をした。千草さんね、覚えておこう。数少ない常識人だ。まともに話してないけど。
「皆様こんにちは、千草零と申します。突然ですか皆様に夢はありますか?」
ここで一呼吸置いて千草さんは続けた。
「恐らくこの高校にいると言うことは目標を抱いて入った人が多いと思います。
たとえば政治家になりたい、医者になりたい、研究職に就きたいなど人の数だけ夢はあると思います。ただ、ここで皆様にこの場を借りて言いたいことが一つあります。
それはこの学校を通過点としてみて欲しくないということです。人生は長いですが高校生活は三年間しかありません。一瞬です、三年なんて。
その短い高校生活をただ、人生の通過点としか見ないことはどんなにもったいないことでしょう。使命に追われて自分が見えなくなるのはなんて残念なことでしょう。」
…凄い、きっと千草さんの手元には書き込みが沢山された原稿がー、無い!?
え、嘘でしょ!?原稿なしでスピーチしてんのこの人!?
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