#1 入学式(1)

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#1 入学式(1)

「ここで僕は三年間過ごすのか…。」 校門の向こう側に広がる時代を感じさせる旧校舎、その向こう側に見える真新しい新校舎、中学校のものとは比べ物にならない大きさの体育館、よく管理のされた草花、創立者の銅像。一つ一つが人を圧倒させる建築物が並ぶこの学校で僕は三年間、また退屈な日々を過ごすのだろう。 (勉強なんて大嫌いだ。) 僕の名前は鳳修也、ちょっと勉強が出来る程度の何処にでもいる高校生だ。 昔から勉強は嫌いだった。もちろんある程度は出来た。じゃないと僕はこの高校にはいない。 僕が三年間通うことになるこの学校は「御剣高校」。関東ではぶっちぎりの一位、国内でも五本の指に入るほどの進学校だ。 僕が勉強が大嫌いな理由、それは「簡単」だからだ。 どんなものでも簡単すぎると退屈になる。桃○郎電鉄でCPUをよわいにして百年モードで遊んでみて欲しい。十年の時点で飽きるぞ。僕にとっての勉強がそれだ。 他の人が聞けばうらやましいと思うかもしれない。ただ僕からしたら勉強以外のことが出来る人のほうがうらやましい。 勉強は社会人になったら全然使わなくなる。期間限定のステータスだ。     
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