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ヤン女、いやこの言い方は失礼だろう。彼女は月見遥を一瞥して言葉を続けた。
「こいつもたぶんそうなんだろう。先生、あんたにとって男が女の格好すんのは変なことかもしれないがこいつにとってはそれが普通なんだろ。あんたの発言はそういう人たちを差別することにつながりかねない。先生、撤回して謝罪するべきだ。」
…凄い。こんなのと同じレベルなの、とか思っていた自分を殴ってやりたい。
知識もそうだけど普通こんな状況で先生に言い返せないだろう。僕を含めて普通の人は。でも彼女はやってのけた。論理的に、感情的にもならず、相手の非を責めた。
「確かにそうね…。ごめんなさい、月見君。謝るわ。変だなんていってごめんなさい。」
教師は深々と頭を下げた。
「わ!わ!頭を上げてください!別に慣れてますよ。」
別に慣れてますよ、か…彼はどれだけ苦労してきたんだろうか。
「ところで…君…なんていうの?」
月見君が先程、教師を丸め込んだ少女にそう聞いた。
「凛…八雲凛だよ。」
「それじゃあ凛ちゃん…。ありがとう~!」
そういうと月見君は八雲さんに抱きついた。
「ほんとに助かったよ!君がいなければ大変だったかも!」
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