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「……勘違いをしている様ですので補足説明をしておきましょう、大陸協定が効果を及ぼすのは協定批准国に対してのみですよ、それに批准していないヴァイスブルク伯国が遵守を約束したのは素晴らしい事かもしれませんが、だからと言って批准国では無い貴国の捕虜の扱いが劇的に変わる話では無いのです、つまりそちらの元騎士団長の方以外の方々が生き永らえる事が出来たのは、単に我々の好意によって貴女方を保護した結果であり、我々は貴女方からのその好意に対する御礼も受け取らせて頂きました、尤も、貴女方も存分に楽しんでいた様ですがね」
激高するライナの姿に調子を取り戻した下級幕僚は挑発の笑みを浮かべながら慇懃無礼な口調で都合の良い理屈を述べ、余りの内容にライナは更に激高しかけたがミリアリアは片手をあげてそれを制した後に余裕の表情を取り戻している2人を見ながら口を開く。
「……随分勝手な理屈を述べているが自分達の状況をまるで理解していない様だな」
ミリアリアの言葉を聞いた下級幕僚と元隊長は小馬鹿にした様な笑みでその言葉に応じ、その反応を目にしたミリアリアは哀れみの表情を浮かべながら言葉を続けた。
「……まあ良いだろう、お前達の話を聞くのは私達では無く、このダンジョンの主だ、そんな態度を取った事を後悔しなければ良いのだがな」
ミリアリアの言葉を聞いた下級幕僚と元隊長が怪訝そうな面持ちを浮かべているとドアが開かれてアイリスが入室し、一瞬驚きの表情を浮かべた2人だったがアイリスの魅惑的な美貌と肢体に扇情的な装いを目にした途端にその表情がだらしなく緩んだ。
「こんにちわ、侵入者さん達、あたしはアイリスこのダンジョンの主よ」
アイリスが2人を見ながらそう告げると2人は突然笑い始め、一頻り喧しく哄笑した後に肩で息をしながら相次いで口を開いた。
「あ、貴女がこのダンジョンの主、ですか……くくっ……だ、だとした貴女は敗残兵に過ぎない元騎士団長様をこのダンジョンに匿い、更に我が軍が丁重に保護していた捕虜を強奪した極悪人だと言う事になりますよ、くっふふ、見た所かなり薄い混血の蝙蝠の獣人にしか見えない貴女がね………ふっふふ、も、もう少しま、マシな嘘をついた方が良いでしょう」
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