訊問

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勝ち誇った表情で宣いながら新たな入室者を確認した下級幕僚と元隊長の長広舌が突然詰まり、下級幕僚と元隊長は言葉を喪い唖然とした表情でドアから入って来た2人の入室者を見詰めた。 「アイリス様、キャンプ跡の捜索完了しました」 「僅かですが傭兵隊が所持していた携行食料がありましたので食料庫に収納しておきました」 「そう、御苦労様、リーナ、アリーシャ、こいつ等への尋問はまだ始まったばかりよ」 2人の入室者、リーナとアリーシャのハキハキとした口調の報告を受けたアイリスは穏やかな口調で2人を労い、唖然とした表情でその光景を見詰めていた下級幕僚は戸惑いの呟きをもらした。 「……ど、どう言う事だ、これは?」 「……ねえ、不思議に思わなかったの?」 下級幕僚の呟きに応じる様にアイリスが発した問いかけ、その言葉にはそれまでののんびりとした口調やリーナとアリーシャの労を労った穏やかな口調からは想像すら出来ない底冷えするかの様な冷気が宿り、その言葉を受けた下級幕僚と元隊長が思わず身体を硬直させる中、アイリスは冷気を纏った問いかけを続けた。 「……縛ってある縄が振り解けそうな程に縛りが緩い事を、不思議に思わなかったの?あれほど単純な場所に隠し持っていた武器が見つからなかった事を、不思議に思わなかったの?あんた達みたいな屑の所にあんた達の仲間に汚し尽くされたリーナとアリーシャを簡単に近付けさせた事を、そして最後になるけど、本当に不思議に思わなかったの?あんた達が捕らえた2人がこの部屋に入ってから一言も喋っていなかった事を」 下級幕僚と元隊長が呪縛された様に身体を硬直させてアイリスの冷気を纏っていた問いかけを聞いていると、2人が羽交い締めにしていたリーナとアリーシャが突然顔だけを180度回転させて羽交い締めしている下級幕僚と元隊長に向けて鼻先を向け、有り得ない光景を目にした下級幕僚と元隊長はけたたましい絶叫と共に腰を抜かして尻餅を着き、真後ろに顔だけを向けたリーナとアリーシャから少しでも離れ様として血相を変えて無様にもがき始めた。 「……あらあら、可哀想に、腰抜かしちゃってるじゃない、どうかしたの?」
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