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尻餅を着いたままもがくように後退る下級幕僚と元隊長の背後がアイリスの冷気に溢れた問いかけによって撫でられ、それを受けた下級幕僚と元隊長が動きを止めて恐る恐る背後に視線を向けると、いつの間にか背後に回り込んでいたアイリスがしゃがんで膝頭を支えに両手で頬杖をついた状態で2人を見詰めており、その姿を目にした2人は泡を食った様に尻餅を着いたまま後退りしながら震える手で千枚通しの尖端をアイリスに向けた。
「……あらあら、恐いわねえ、そんな物騒な代物仕舞いましょ、恐くてお話出来ないわ」
しゃがんで頬杖を着いたアイリスが蔑みの視線を向けながら冷たい口調で告げると、アイリスに突き付けられていた千枚通しが突然黒い焔に包まれ、それを目にした下級幕僚と元隊長が声にならない声をあげながら焔に包まれた千枚通しを床に放り投げた。
黒い焔に包まれた2本の千枚通しはあっという間に消し炭になってしまい、2人が呆けた表情で消し炭になった千枚通しを見ているとアイリスがしゃがんで頬杖を着いたまま冷たい笑顔と共に声をかけてきた。
「フフフ、危ない物も無くなった事だし、これで心おき無くお話出来るわね、あたしは頭が緩いから緩い頭でも理解出来る様にお話してね」
アイリスは冷たい笑顔で告げた後に右手を頬から離して小さくパチンッと鳴らし、その後に再び頬杖を着きながら質問を始めた。
「……最初の質問よ、下っ端参謀さん、残党狩部隊の本隊には何人の捕虜がいるのかしら?」
「……そ、そんな事しら……捕虜は全部で8名だ、内訳はダークエルフが1名で残りは全てエルフだ……な、何だ、これ、は……」
アイリスの質問に対してしらを切ろうとした下級幕僚の言葉は途中から正確な答えへと変化してしまい、下級幕僚が驚愕で掠れた声を絞り出すとアイリスは極上の嘲笑(えみ)を浮かべながら事も無げな口調で告げた。
「簡単な話よ、自白の魔法を使ったの、これで頭の緩いあたしが質問してもしっかりと答えてくれるでしょう、質問を続けるからしっかりと質問に答えてね」
アイリスの答えを聞いた下級幕僚と元隊長はこの時になって漸くアイリスが桁外れのバケモノである事を理解出来たがその時には全てが手遅れの状態になっており、2人はアイリスの質問に応じて残党狩部隊や捕虜となっている捕虜達の情報を知っている限り伝え続けた。
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