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何時間か経ってふと、時計を見るともう9時になっていた。私はうーんと伸びをすると帰り支度をして
戸締まりをして会社を出た。昼間はあんなに暖かかったのに、夜になるとこんなに寒くなるなんて思わなかった。薄着でコートも着てこなかった私は肩を震わせて足早に家へと急いだ。歩いているうちにお腹がすいてしまい、私はどこか食べるところがないか探したけど残念ながらほとんどの店が閉まっていた。諦めかけてたその時、カタカナで「モンターナ」と書かれた看板が光っているのを見つけて慌てて走って入り口まで行くと、お店の人が外にでて店じまいをしようとしていた時だった。その人は息せききって走ってきた私に気づいて、驚いた顔をしていた。私はとりあえず夢中で言った。
「あの!まだお店開いていますか?」
そう言った途端、お腹がなってしまい私は恥ずかしさで消えてしまいたかった。何も言えず黙っていると、その人はふふっと笑うと言った。
「今は俺しかいないので大丈夫ですよ、何かお作りしましょうか?」
「いいんですか?」
「いいですよ、何がよろしいですか」
彼はメニューを持ってきて見せてくれた。私はとてもお腹が空いていたので、お腹にたまるものがほしくてハヤシライスにすることにした。しばらくして
料理が運ばれてくると、私はスプーンを手に持って食べ始めた。店員さんはにこにことうれしそうに私を眺めていたので、何だか頬が火照りそうだった。
食べ終わって水を飲んでいると、小さい器に入ったデザートを持ってきてくれた。
「あの、私デザートは頼んでないですが?」
「いいんです、これは俺からのサービスです」
そう言って彼はパンナコッタを私の前に置いた。
ふんわりとやさしい味でそれはすごくおいしかった。今日疲れてたのが嘘みたいに元気になってきて
彼の気遣いが私の心を癒してくれたんだと思った。
少しでもお礼がいいたくて私は帰り際に言った。
「ありがとうございます。お陰で元気が出ました」
「それはよかった。こんな時間までお疲れ様です、こちらこそありがとうございました」
と彼はそう言ってにっこり笑った。
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